個人事業主が法人成りすると税務上でどんなメリットがある?
個人事業主の方の中には、事業が軌道にのってきたので法人成りを検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
では、法人成りすることで、どのようなメリットを享受することができるのでしょうか。
本稿では、個人事業主が法人成りするメリットについてみていきましょう。
法人成りのステップ
まず、個人事業主の方が法人成りする場合、以下のステップを経る必要があります。
〇会社の基礎情報の決定
会社名、事業計画、事業内容、設立形態を決定します。
〇定款の作成と認証
会社の活動規則である定款を作成し、認証を受ける必要があります。
〇資本金の払込
定款認証確定後、発起人の個人口座を設定し、そこに振り込みます。
〇法務局での登記申請
個人の印鑑と法人の印鑑それぞれが必要です。
登記申請をした日が法人成りした日となります。
法人成りのメリット
個人事業主の方が法人成りした場合、以下のようなメリットを享受することができます。
〇免税事業者になれば、設立後2年間免税となることが出来る
・資本金が1,000万円未満
・設立後6か月の売上高が1,000万円を超えてない
・従業員給与も同様に1,000万円を超えていない
これらの条件を満たしている法人は、消費税の納税義務が免除されます。
ただし、令和5年10月1日から始まるインボイス制度において、免税事業者が適格請求書発行事業者になるためには、課税事業者になる必要があるので注意が必要です。
〇生命保険料の損金算入
法人名義で生命保険に契約した場合、保険のタイプにも依りますが、支払保険料を損金算入することができます。
例えば、9,000万円の利益をだした会社であれば、本来2,700万円の法人税がかかりますが、1,500万円の保険料を払えば、会社の利益は7,500万になるので、2,250万の法人税で済むことになります。
〇赤字の繰り延べ
個人事業主が3年間しか赤字を繰り越すことができないのに対し、法人成りした場合9年間もしくは事業年度によっては10年間まで繰り越すことが可能となります。
例えば2020年度の決算が500万円の赤字で終了し、2023年度の決算が900万円の黒字で終了したとします(税効果会計は無視し、900万円がそのまま税務上の益金と一致していると仮定)。
通常であれば900万円が税金の対象となりますが、赤字の繰り越し期間が9年間まで認められるため、500万円を控除した400万円が税金の対象となるのです。
そのため、課税所得も減少し、税金の金額も減少します。
〇責任範囲が限定される
法人成りにより、個人と法人の責任が区別されるようになります。
個人所有の財産が経営成績に影響を受けるリスクを低減できます。
〇資金調達方法の多様化
有価証券の発行、購入、融資など、個人事業主と比較して多様な手段で資金調達することが可能になります。
法人成りはさくら税理士事務所におまかせください
このように、法人成りには多くのメリットがありますが、自分の事業の状況を鑑みる必要があるので、タイミングが肝要になります。
「客観的に法人成りするタイミングやメリットについて知りたい」と思われる個人事業主の皆様は、専門家である税理士に相談することをお勧めします。
法人成りをご検討の個人事業主の皆様は、さくら税理士事務所までお気軽にお問い合わせください。